第5章 死神は御満悦
自分の愛がどれだけ異常で歪んでいるのかなんて百も承知だ。
でも、それ程までにマリアンヌの事が大切で愛しいのだ。誰が何と言おうと構わない。
「(アンダーテイカーさん…大好き……)」
ビャクをカゴに戻すと、マリアンヌは自分の願いを叶えてくれたアンダーテイカーに再び抱きつき礼を言った。マリアンヌは独占欲剥き出しの条件を突きつけられた事など、もう気にもしていない様だ。
「小生だって愛してるさ。」
マリアンヌの髪を撫でながらそのまま横抱きにして立ち上がると、ビャクを店に置いたまま部屋を出る。
話を十分に理解していたビャクはもう文句を言わなかった。
心を壊してひたすらに自分を欲しがるマリアンヌも可愛かったが、元気を取り戻してくれて本当に良かった。
その上、自分の都合のいい条件で従順な鳩も手に入った。なんていい日だ。
「イッヒッヒッ……」
思わず笑いがこみ上げてきてしまった。
「(アンダーテイカーさん?どうしたんですか?)」
「何でもないさ〜でもマリアンヌ、今日は覚悟おしよ。小生、ずっとマリアンヌを可愛がりたいのを我慢していたんだからね。」
ニヤリと悪い笑みを見せながらマリアンヌの顔を覗き込んだ。
「(…………)」
そんなトンデモ発言に顔を真っ赤にしたマリアンヌに軽くキスを落とすと、アンダーテイカーは寝室の扉を静かに開ける。
その死神は大層御満悦だった。