第5章 死神は御満悦
切り裂きジャック事件が解決し、ロンドンの街中が落ち着きを取り戻すと、同時に社交期は終了した。
季節の移り変わりと共に少しずつ日の出の時間が遅くなり、日の入りは早くなる。
しかしそんな事、今のマリアンヌにはまったく関係なかった。
マリアンヌはあの切り裂きジャック事件を見に行った日から、外出はおろか、店にも出ようとしなかった。
風呂とトイレ以外はずっとアンダーテイカーの寝室の大きなベッドに引きこもっている。
着替えもろくにせず、常に下着か裸でベッドに潜り込み、寝室から出る時はアンダーテイカーのローブを身体にかけて移動していた。
当然今まで担当していた炊事や掃除などもやらなくなってしまった。
1日の大半をベッドの中で過ごし、アンダーテイカーが食事を持ってくれば、食べる事よりも、心の傷を埋めたがる様にその身体を求めた。
──カチャ──
「マリアンヌ?起きてるかい?小生と一緒に朝ご飯にしないかい?」
マリアンヌがこんな状態のため、今は炊事も掃除も全てアンダーテイカーだ。しかし、もともと長い年月1人で過ごしていた彼にとってそんな事は苦ではなかった。
サイドテーブルに朝食のトレーを置くと、頭まで被っていた布団から細くて白い腕がユラリと出てくる。
その腕は迷う事なくアンダーテイカーの首元に絡まると、そのまま抱きつき長い前髪で隠れた視線を探るように見つめた。
表情は少し暗くうつろげだが、しっかりと熱を帯びているのが分かる。
「小生が欲しいのかい?」
その問いかけに返事はせず、マリアンヌはアンダーテイカーの服のホックに手をかけると次々に外し、襟元を引っ張ると2人で倒れ込むように、強引にベッドの中へと導いた。
「おやおや、今日も朝からおねだり上手じゃないか〜小生、そんな事をされたら朝ご飯よりも先にマリアンヌを食べたくなっちゃうよ。」
マリアンヌの誘いで下半身に熱が集中し始めてしまったアンダーテイカーはおどける様な態度をとるが、こんな積極的な誘い方をされてしまえば今すぐにでもその中に入りたくなってしまう。
自身のおどけた態度とは裏腹にその手はマリアンヌの大事な秘部へと向かっていた。