第3章 ケイン
貴方side
ケインに新作のマジックを見せて欲しいと…私だけに見て欲しいと…そういわれて断るマスターは何処にいるだろうか。こんな嬉しいこと言われたら断ることなど到底出来ない。
期待を胸に抱きケインの後を追っていく。歩いていくにつれてケインのペースが早くなっていく。樹海に入り、足場が悪いせいか疲れが直ぐに溜まってフラフラとした足取りになっていく。それでもケインは止まらない。もう数時間も歩いている気がする。
ケインがやっと止まってくれた。
ケイン「着きましたよ」
ここと言われて指さされた場所はレジスタンスの倉庫と同じくらいボロボロの倉庫。
ケイン「一息入れましょうか。」
そう言われると早く休みたいからか不思議と足取りが軽くなる。薄暗い倉庫ね。気味が悪い。こんな事ケインにはお口が避けても言えないけど。
私の後にケインが入る。ガチャッと施錠に似ている音が聞こえたがきっとこの倉庫の立て付けが悪いせいだろう。
…それにしても暗すぎる。倉庫に入る前までは凄く明るかったのに。この倉庫には窓の1つもないのだろうか。
貴方「え?暗いです…ケイン、この倉庫には窓の1つもないのですか?」
会話する相手の顔すら見えない真っ暗な倉庫の中。なんなのだろうか、この感じ。少し…いや、異常な程の殺気すら感じてしまう。
ケイン「私のマジックには窓も光も必要ないのですよ。」
貴方「どういう事ですか?」
意味がわからない。
ケイン「私のマジックに必要なものは私とマスターさん…この2つだけですよ。」
意味が更にわからない。
でも、言えることがひとつある。マスターだからだろうか、さっきの一言でケインから放たれているであろう殺気が疑惑から確信へと変わった。油断していると殺気で押し倒されそう。
貴方「…い、意味がわからないです。お巫山戯なら私は帰ります!」
こうは言ったものの私は命の危機を本能で察知し流石に怖くなっていた。
前が見えないので手探りでドアノブを探す。
…!やっと見つけた。
ガチャガチャッ…
…開かない。なんで
ケイン「…フフフ…逃げられませんよ、マスターさん♪♪」