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猫恋

第1章 そこにいるのは/黒尾


――― わりとマジで束間ちゃんのこと好きだ ―――

 高1の秋くらいだったか、黒尾くんに告白された。私は告白なんてされたことがなかったからびっくりしてその場で応えることができなかった。
 それでも黒尾くんは私がちゃんと応えれるまで待ってくれた。

「ふぁ…あ…」

 眠気と闘いながらなんとか4限の授業が終わった。このあとはお昼休みだから友達と合流せねばならない。

「今日も船漕ぎすぎだろ」
「ノートは書けたもん」
「そりゃなによりだ」

 後ろの席から立って前に回ってきた黒尾くんに頭を撫でられた。
 黒尾くんの手は大きいし、あったかいから頭を撫でられるのは好き。でも、離れると少し寂しい。

「おーい。クロ、行くぞー」
「はーい。じゃあ、またな」

 大きな手を後ろ手で振りながら夜久くんと一緒に教室から出た黒尾くんを見送るのも少し寂しい気がする。見送ってから鞄を持って友達のところに行った。

「今日も熱々だね」
「そんなに熱々じゃないよー」

 お弁当を広げて食べながら友達と他愛のない話をしている間はそんなに気にならないなんて私は現金な人間だなと頭の片隅で思う。

「黒尾くんに不満とかないの?」
「不満ねー。あるけど、言ってもきりがないからなぁ」
「あ、やっぱあるんだ?」
「あるよ? あえて言わないけど」

 高1から付き合ってると友達とかクラスの人から恋バナを吹っ掛けられたり、なんか探りを入れられることもある。でも、一応当り障りない回答をしてるつもり。うん、つもりだ。

「カップルも大変なんだね」
「そりゃそうだよー」

 どうしたもんかと思ったけど、黒尾くんは私に不満はないんだろうか? 私は多少ある。バレーが一番なのは悔しいとか、もっと独り占めしたいとか、モテるなーとか。後から考えると結構くだらないことなんだけど、それでも私は黒尾くんが好きで、バレーを一生懸命にしている黒尾くんのことも好きなのだ。
 困った恋心だ。

「部活がんばれー」
「眠そうな顔で言われてもなー。まぁ、頑張ってきますよー」
「じゃあねー」

 午後の授業も眠気と闘いながら乗り切って、部活に向かう黒尾くんを見送った。
 放課後は教室で課題を済ませてから帰るか友達と寄り道してるか地元に戻ってバイトのどれかで過ごしている。今日はバイトもないし、課題をさっさと済ませる方を選んだ。
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