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猫恋

第3章 会いたい/夜久


「お、やっくん、惜しかったな」
「なにが?」

 学食でそのままリエーフや犬岡、芝山と飯を食べてから教室に戻ったら気持ち悪い笑みを浮かべた黒尾とその膝の上に座って文庫本を読んでる白木に出迎えられた。

「さっきまで束間ちゃんと弁当食ってたのよ、俺ら」
「…は!?」
「の卵焼き、美味しかったねー」
「ねー」
「はぁぁ!?」

 このカップル、お互い顔を見合わせて笑顔で言ってるのが今すごい腹立つ!
 しかもゆめが一緒なんて俺聞いてないぞ!? 知ってたら俺だって購買で買って来たし!

「いきなり白木ちゃんが束間ちゃんを連れてきた時にはびっくりしたけどなー」
「学食前で夜久くんに声をかけようとしたものの、後輩君に取られてやり場のなかったを保護しました」
「……マジ?」
「マジだよー」

 俺、ゆめにすら気づかないってどんだけだよ…

――― 衛輔くん ―――

 あー、ゆめに癒されたい。
 3年になってから部活も忙しくなって、クラスも離れてしまってなかなか会えなくなっちまった。休み時間も会いに行こうにもトイレや移動教室でいなかったりして空ぶるし…メールは出来てるけど、やっぱ会いたい、話したい。

「あ、やっくん。今日の部活終わったら5組に戻るといいことあるぜ」
「いいことってなんだよ?」
「行けばわかるって」

 放課後、部室に向かいながら黒尾に言われたことが気になったものの練習に入るとすぐにそれも気にならなくなった。

「お疲れっした!!」

 いつもなら練習の後も自主練をするとこなんだが…

「やっくーん、教室にそろそろ行かねーとご褒美取り逃すぜ?」
「は?」
「えー、やっくん、もしかして彼女ちゃんからご褒美もらえるの? ずるいっ」
「如月ー、ボール出ししてくれない?」

 黒尾の気持ち悪い笑み、如月の拗ねた表情、2人の言葉で頭に思い浮かんだのは……

「あれー? 夜久さん、あんなに走ってどうしたんすか?」
「ほんだ、珍しいな」
「はぁ…」
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