第3章 会いたい/夜久
着替えるのもままならなくて荷物を持って教室に向かっていた。その時、廊下を歩く影が見えた。あれは…
「ゆめ!」
「え? 衛輔くん?」
ゆめがいた。ずっと会いたかった彼女がそこにいた。気づいたら抱きしめていた。
「どど、どうしたの?」
「え、あ、ご、ごめんっ、俺っ」
慌てて離したけど、ちょっと名残惜しかった。
「きょ、今日、ゆめが残ってるって聞いて…」
「あぁ…さっきまで鈴ちゃんと課題してたから…」
「そ、そうか…」
「あ、あの、衛輔くん」
久しぶりで、何から話したらいいのかわからないでいたらゆめが声を上げた。
「あの、今日、一緒に…帰れる?」
「……帰る! 今日は一緒に帰ろう!」
「うん」
嬉しそうに笑うゆめが可愛くて、もっと笑ってほしい、もっと見たい、そう思った。
「ねぇ、知ってる? ここ廊下なんだぜ?」
ゆめの荷物を持ってきた白木にからかわれるまであと少し。