第1章 太宰さんがサボる理由を知った日
昨日と同じ場所で、そっと息を潜める。
何故こんなことになったのか、なんて後悔しつつも断れない性格の自分が悪い、そう思い昨日の花屋に目を向ける。
今のところ、太宰さんは来ていない。
もう来たのかもしれないし、まだなのかもしれない。
どっちにしても本当に太宰さんは来るのだろうか…
そんな思いでもう一度花屋を見た時、
「!」
太宰さんが居た。
昨日と同じように花を選びながらもとても悲しそうな顔をしている。
「本当に来ましたわ。」
少し驚いた様子のナオミさん。
今日は昨日のように見逃さないよう、しっかりと太宰さんを見る。
太宰さんは昨日とは違い、僕たちには気付かずに選んだ花を持って歩き始めた。
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歩き始めて数十分、ヨコハマから少し外れた場所で太宰さんは止まった。
太宰さんが来たのは、小さな病院だった。
太宰さんは何度自殺しても病院のお世話になることがないほどに悪運が強い。そんな病院要らずの太宰さんが何故、と他の人もそう思ったのだろう。
僕達は顔を見合わせ、ハテナを浮かべながらも僕達は太宰さんの後を追った。