第1章 金曜日
番組が終わって、テレビは深夜のニュース番組になった。
もう特にやる事も無い。そろそろ寝る準備をするかといった時間帯。
「ふーっ。」
美咲は小さく息を吐いて、腕を下ろして床に手を着く。
俺はその白い手に俺の手を重ね合わせた。
「・・・うぅー。」
美咲は女の顔を見せながら、もじもじと俺を見上げて来る。
この関係に開き直ったとは言え、やっぱりまだ自分から「そういう事」は迫れないらしい。
照れる美咲が可愛くて、本当は甘えたいんだろう事がよく分かって、俺は笑って美咲を引き寄せた。
美咲の体は特に抵抗も見せず、俺の腕の中にすっぽり収まった。
「いい子。」
以前に比べたら格段に素直になった美咲の頭を撫でる。
俺の背中に回された腕に力が込められたのが分かった。