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【文豪ストレイドッグス】蒼天の嗤う頃に

第2章 任務


腕時計を見ると、約束の時刻よりも五分過ぎていた。

あの中也が遅刻とは、中々珍しいこともある。

任務で落ち合う時には必ず中也が先に来ているのに。

今回の任務の内容は、まあよくある奴で。

利益を横流ししている構成員の掃討だ。

人通りの多い場所で約束していたので、目の前は頻りに人が歩いて通り過ぎていく。

「お姉さん、さっきから突っ立ってるけど待ち合わせ?」

中也遅いな………………。

「ちょっと、無視しないでよー」

知らない気配が私の肩に触れて殺気立つ。

「っ、そんな怖い顔しないでよ…………」

「何の用ですか」

「よかったらお茶でも、どう?」

明らかに作り物の笑顔を向けてその男は誘ってくる。

面倒臭い、というオーラを全面的に出しながら適当にあしらおうとするがかなりくどい。

「いいから来いよ」

と終いには強引に腕を掴んで連れて行こうとしてくる。

踏み止まり、抵抗する。

「離して下さい」

「いいから早くこっちに来い」

裏路地に連れ込もうとしてくる。

明らかに其方には茶を飲むような処はない。

この様に人の多いところで騒ぎは起こしたくないのだが………。

「やめて」

それでも抵抗を続けていると、相手が手を上げる。

それに反射的に瞳孔が開き、身体が反応しようとした時。

相手の手は、黒い手袋を纏った手によって止められた。

「………手前、何してやがる?」

「ひぃ」

中也だった。

中也の放つ凄まじい殺気に怖気付いた男は、悲鳴を上げ、一目散に逃げていく。

「ッたく…………大丈夫か?」

「うん、助かった。ありがとう」

「この辺も最近ああいう輩が多いなァ。」

先程、私が男に連れ込まれそうになった裏路地に入っていく。
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