第1章 新たな伝説の始まり
「ふぁ〜…………」
足を組み、眠たげな蒼い双眸で書類を見つめる銀髪の女。
齢は二十。最近、幹部の座についた者であるが実力は確かなもの。
そんな、彼女____ の異能力は〝真紅の舞踏会〟。
血を操り、殺傷したり拘束したり出来るという異能力だ。
新人幹部の居る執務室に控え目なノック音か響き渡る。
彼女は視線を移動させることなく応える。
「どうぞ」
「失礼します、幹部。首領がお呼びです。」
一瞬だけ、やって来た者に視線をやる。
「____今行く」
手に持っていた書類を無造作にデスクの上に置いて、今しがた彼女を呼びに来た者に続いてポートマフィアの首領、森鴎外がいる場所へと足を進める。
大きく重圧感のある扉の前に立ち、今度は彼女がノック音を鳴らす。
「です。お呼びと聞いて参りました」
「入り給え。」
「失礼致します、首領」
部屋に入り、扉を丁寧に閉めてから深々とお辞儀をする。
顔を上げると、首領とエリス嬢の他にもう一つ人影があるのには気が付く。