第13章 本音
「あーあ誰もいないか。」
大袈裟に大きな声で言うと踵を返して部屋を出ようとする。
(よし!ここだ。)
足元に転がっていた石にわざと躓く。派手に転んだせいでおでこをぶつける。
気絶したフリをするため、絶を解いてじっとその場に倒れたままでいた。
しばらくすると足音がした。そして声が聞こえてくる。
「おい、やべぇんじゃねぇか?」
フィンクスの声だった。
「知らないね。演技かもしれないよ。」
二人の足音がすぐそばまで来る。
「おーい、大丈夫か?」
派手に転けたことを心配しているフィンクスがしゃがみ声をかけてくる。フェイタンもつられてしゃがむ。その瞬間、二人の服を思いっきり握りしめた。
「捕まえた!」
『…………。』
ポカンとしたフィンクスとフェイタンにニコリと笑顔を向ける。
「騙された。」
フィンクスが先に状況を把握すると頭を抱えた。
「やったー!勝ちました!」
本気に転けたせいで、おでこがジンジンするが、喜びを全身で表現する。
「フィンクスの巻添えくらたね。」
フェイタンが呟いた。
「今回は二人が罰ゲームです!」
「はぁー、内容はなんだよ。」
フィンクスは大きなため息をつき、内容を聞いてくる。
「うーん。あ!二人の念能力が知りたいです!」
アリアの念能力はカルト以外の団員が全員が知っている。しかし、私自身は二人の能力について詳しく知らなかった。
「そんなことでいいのかよ。そうだな。俺は強化系。腕を回す回数でパンチ力を増大させるって感じの能力だぜ。」
「ワタシは変化系よ。敵から攻撃受けてからしか念能力使えないね。痛みを糧にオーラ放つから周りに手加減できないね。だからすぐ逃げること薦めるよ。」
「へー。」
すんなりと教えてくれた二人に少し驚いた。自分達で決めたルールは守るんだなと改めて感じる。それと同時に何かが引っ掛かった。自分は念について何かを忘れている。そんな気がしてならない。
「…………。」
「どうしたか?」
突然黙り込んでしまったことにフェイタンとフィンクスは心配する。