第1章 先輩後輩
保険医「これはどう?」
健永「いたっ!!」
保険医「軽い捻挫みたいだけど、取り敢えず2、3日は大人しくしてなさい」
「えっ2、3日って、先輩明日大会なのに」
保険医「歩くのがやっとって感じなのに、大会なんて無理でしょう」
私は何て声をかければいいかわからず、黙って先輩の後をついて行った。
健永「ちゃん」
急に声をかけられびっくりした私は、直ぐに返事ができなかった。
健永「黙っててくれないかな?」
「えっ?」
健永「明日の大会は、学生生活最後の大会なんだ。俺、出ないと絶対後悔すると思うんだ。」
「でも……」
健永「幸いケガしたのは軸足じゃないし、ちょっと構成を変えればなんとかなるから」
そう言ってニコッと笑った先輩に、それ以上何も言えなかった。