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「ほととぎす」「難波江の」

第1章 つかの間の恋


翌早朝、ターミナルで出航の順番待ちをしている船の中で、外を眺める阿伏兎に神威が声をかけた。
「どうしたの?ぼおっとしちゃって。忘れ物でもしたの?」
「いや…ちょっと良いモンを見つけたんだがな。土産にしそこねた」
「今なら間に合うよ。行って来れば?」
そう言われた阿伏兎は、軽く首を振り
「良いさ。結局、俺には似合わねー。旅先で見つけたモンはそんなところだ」
と、苦笑いを浮かべた。

「ほととぎす 鳴くや五月のあやめぐさ あやめも知らぬ恋もするかな」
『ほととぎすが鳴く五月のあやめ(菖蒲)ではないが、物事のあやめ(筋目)も分からぬような、夢中の恋をする事だなぁ/詠み人知らず/古今和歌集』

「難波江の 葦のかりねの一夜ゆえ みをつくしてや 恋ひわたるべき」
『難波江(なにはえ)の 葦(アシ)の狩り根の一筋のように、短い仮寝の一夜の契りゆえに、生涯恋い続ける事だろうか/皇嘉門院別当/小倉百人一首』
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