第5章 4:00
手足の爪が全て剥がされた。
「次ね。」
指の骨を一個ずつ折られて行く。
「っぎぃ……ぁがあ!!い゛だい゛!やめ、で!!もう゛やぁ!!」
鼻水なのか涙なのか、顔はぐちゃぐちゃだ。
もう、殺してほしい。辛い。
「ハハ、いい声ね。ほら、次はどこ折るか?」
恐らく、手の指は原型をとどめていないだろう。髪を鷲掴みされ、目隠しが外される。
目の前にはニタァっと嫌な笑みを浮かべる彼の姿がある。
「だったら吐くよ。誰に頼まれたか?」
首を左右に降る。髪を掴んでいる手に力が入り、髪の毛がブチブチと抜ける音がする。痛みに顔を歪めると、その反応が面白いのか、男の笑みがさらに増す。
「そろそろいいだろう。」
髪を鷲掴みしている男の後ろから、今回の依頼主でもある。クロロが現れる。
「どう、して。」
レンの疑問の声もむなしく、髪を離される。
「もう、合格か?」
「あぁ、取り敢えずな。」
現状がよくわからずに呆けていると、クロロが説明を始める。
「ようこそ、レン。君は合格だ。その能力を俺達のためだけに使ってもらう。もしNOと言うのなら、死んでもらう。どうだ?仲間になる気はあるか?」
必死に首を縦にふる。死にたくない。生きられるのなら生きていたい。死ぬのは怖い。
「なら、フェイタン。お前が折った彼女の指、もとに戻してやれ、あとこれからの面倒も任せたからな。」
クロロは言うことだけ告げると部屋から出ていった。
「ッチ!面倒ね。ほらお前、指、戻すよ。」
フェイタンと呼ばれた彼が再び私の指に触れると一気に骨を元の位置に戻す。
「……っいだ!?いや!もう!やだぁ!ゆるひっ!?」
痛みに顔を歪める。
「ハハ、お前のその顔なかなか好みね。」
フェイタンはレンが痛みに気絶してからも自らが折った指をもとに戻し、終わるとその手に包帯を丁寧に巻いて行く。
「もうレンはワタシ達のものね。」
フェイタンはそう言うとレンの髪の毛を軽く払い、その頬に唇を落とし部屋から出るのだった。