第1章 もう1人の私
「今日はこのまんま帰ります!」
帰る場所なんて無いのに…
心の中でそう呟きながら私は逃げる様にその場から去った。
走り続けて、今帰った所で鍵は空いてない。
お金なんて持ってない。
私は遠くの公園に向かった。
家からは絶対遠く。
親に見つかったら面倒臭いから…
それと猿に会いたくないから…
私は公園のベンチに座りひたすら学校が終わる時間まで待った。
「五十嵐ー!」
ベンチでウトウトしかけてると遠くから呼ばれた声がする。
私は直ぐにあたりを見渡すが、視界に入るのは菊丸先輩だけだった。
「探したよ五十嵐」
息切れしながら話す菊丸先輩
そんなに急いで探す必要なんて無いのに…。
そう思いながらもそうですかと一言だけ返した。
「合宿の話あるから部員は全員参加!」
そう言ってブイサインをする菊丸先輩。
合宿か…。
お母さん許してくれるかな…
借金返せない仕事して!って言われるんじゃないかな…
そう思いながらも菊丸先輩に着いて歩いた。
学校に戻るとテニス部員が集まってて話をしてた。
合宿の練習の話についてその他桜乃と朋ちゃんが来るって話。
ひたすら説明を聞いた後私は
「行けるか分からないんです」
そう言った