第1章 もう1人の私
バスが動き出した。
皆ガヤガヤと騒ぎ始める。
まるで遠足みたいだなって見てる私も少し楽しくなってきた。
「五十嵐さん質問してもいいかな?
答えたくないなら答えなくてもいい」
急に不二先輩はいつもの笑顔から目が開き真顔でこっちを見てきた。
思わず私はビクってなって少し怖いと思ってしまった。
私が頷くと不二先輩はじゃあ、遠慮なく質問するね
って言われた。
何を質問されるのだろうって怖いながらも待ってると
「少し噂を聞いたんだけど売りしてるの?」
それを聞いた瞬間私は目の前が真っ白になった。
なんでバレてるの?まさか猿チクリやがった??
静まれ私。
じゃないと不二先輩にまでもう1人の私を見せてしまう。
こんなので怒るな。いつも通り答えればいい
心の中で何度も唱えて
「そんな事無いですよ、どこから聞いたんですか?」
私は笑顔で答えた。
心臓の音がうるさい。
バレたからってのもあるけどもう1人の私がいつ出てくるか分からないからそれでも心臓がバクバクと音が鳴る。
「なら良かった困ってるなら言って欲しかったと思ってね
ただの噂だから聞いたとかは……って言いたいけど実は英二がたまたまLINEを見ちゃってね堀尾君と付き合ってるのかな?」
…は?
なんであんなくそ猿と付き合わなきゃ行けないんだよ。
あんなやつ暗闇から出してくれそうにないだろ
「…冗談は辞めてあんなくそ猿…」
もう1人の私がでてきた。
私はしまった!って顔をして不二先輩を見る。
不二先輩はびっくりした顔で私を見ていた。
そりゃあそうださっきまで大人しかったのに急にキレ口調。人の悪口。
最低な人だ。猫被ってたなんて思われてしまう
静まれ私。
「あ、えとなんの話でしたっけ?」
咄嗟に出た言葉、良かった今日は直ぐに治まったみたい。