第10章 練習試合後
『テツ君、余りもらっていい?』
「大丈夫ですよ。」
テツ君と席を交代し、お肉の前に座る。
…すごいボリューム。
(もしかして一花ちゃんって大食い!?)
(それはそれでギャップ萌え!!)
先輩達にすごい目で見られている気もするけど…。
『いただきます。』
一口目、うん、おいしい!
二口目、うん、おいしい。
三口目、ぅん…、おぃ…しい。
四口目、…ぅぷ。
『ごめんなさい、ギブです。』
(((ですよねーー!!)))
あわよくば全部食べ切るつもりだったのに、全然ダメだった…。
隣の火神君を見ればもう完食していて、私の方をじっと見つめてくる。
「一花、それもういらねーのか?」
『うん、食べる?』
「おう、くれ!」
あまりにもキラキラした目で見てくるので、お肉を大きめの一口大に切りフォークを火神君の口元に持っていってあげる。
「…えっ。」
『え?』
なんだか戸惑った様子の火神君。
『どうしたの?』
「いや、じ、自分で食べれるし…。」
『まぁまぁ、遠慮しないで。』
「いや、そうゆう意味じゃなくて!色々マズいだろ!!」
お肉を持っている方の手を軽く握られる。
色々って何よ。火神君にしては珍しく歯切れが悪いなぁ。
『マズくないよ?美味しいからパクッといっちゃって!』
「うぉっ!」
そう言って無理やり火神君の口にお肉を押し込む。
『どう、美味しい?』
「うめぇけど…。」
その割に表情が浮かない火神君。
そんなに嫌だったのかな…?
ちょっと反省していると横の日向先輩が突然声を上げ始める。
「かーがーみー。お前ちょっとこっち来い。シバいてやる。」
「だから言ったじゃねぇかよ!!」
『えっ、どういうこと!?』
振り向くと鬼のような顔の先輩が。
『日向先輩…?』
「火神ぃ。お前はいつもいつも三浦とイチャイチャしやがって…!」
「いや、今回のは不可抗力とゆーか…!」
「問答無用!!一発食らわせてやる!」