第10章 練習試合後
私達が帰る時、海常さんがわざわざ見送りに来てくれた。
そして監督同士の対面。
武田監督が苦虫を噛み潰したような顔をしているのとは対極に、リコ先輩は後ろに光が見えるようなとびきりの笑顔を見せていた。
最後に両チームのキャプテンが握手を交わす。
「地区違うから次やるとしたら…、I・H本番スね。」
「絶対行きます。全裸で告るのやだし。」
「?」
あっ、アレ本当にやるんだ。
そういえば、金髪の目立つ彼の姿が見当たらない。
『あの…、黄瀬君は?』
「あー、アイツならどうしても顔見せらんないって謝ってどっか行ったよ。」
『…そうですか。』
最後に顔見たかったんだけど、そういう事ならしょうがない。
諦めて帰ろうとしたら、笠松さんに引き止められた。
「あ、あの、三浦さん、だっけ?」
『はい。…どうかされましたか?』
「そ、その、き、黄瀬の様子、見に行ってやってくんねーか…?」
私は全然大丈夫だけど、誠凛の皆さんに迷惑はかけられないから…、と迷っていたら、リコ先輩が快く承諾してくれた。
「いいじゃない。行ってあげたら?彼氏なんだし!」
『違います!!…じゃあ、少しお時間頂きますね。』
失礼しますと一礼し、黄瀬君の元へと向かう。