第9章 練習試合
【誠凛 100-98 海常】
最後の最後に火神のダンクが決まり、
勝ったのは
誠凛。
「うわぁあぁあああ!!誠凛が!?勝ったぁああ!!!」
I・H常連校にいくら練習試合だからといって、誠凛が勝ったことに体育館中が盛り上がる。
ベンチではリコや一花が安心したように微笑み、日向や伊月はまだ信じられないと言ったように笑った。
火神はというと、キセキの世代に勝利した事が余程嬉しかったのか雄叫びを上げる。
常に無表情の黒子も黄瀬に勝てた事が嬉しかったのか静かに笑みを浮かべていた。
反対に海常の選手の空気は重かった。
黄瀬は呆然として立っていた。
「負け…たんスか?」
生まれて初めて敗北を経験した黄瀬にとって、それはひどく屈辱的で悔しい以外の何者でもなかった。
「あれ?…あれ?」
ポロポロと黄瀬の目から涙が流れる。
そんな黄瀬の様子を火神、黒子、そして一花はジッと見ていた。
「っのボケ!メソメソしてんじゃねーよ!!」
「いでっ。」
そんな黄瀬の背中に蹴りを入れる笠松。
「そのスッカスカの辞書にちゃんと"リベンジ"って単語追加しとけ!」
笠松のその言葉に一花は笑みを浮かべる。
『(いい先輩を持ったね、黄瀬君。)』
コートに選手達が並ぶ。
「整列!!100対98で誠凛高校の勝ち!!」
「ありがとうございました!!!」
こうして誠凛高校は見事勝利を勝ち取り、帰る準備を始めた。