第3章 分岐
赤司君との話が終わってからも、しばらく体育館に居た。
体育館の床に触れる。
いつからだろう、彼らのバスケを肯定できなくなったのは。
いつからだろう、彼らの目が冷たくなったのは。
…いつからだろう、心から笑えなくなったのは。
色々な思いがこみ上げてくるが、何とか堪え体育館を後にする。
だが、そうはさせないと言わんばかりに待ち構えていたのは青い髪をした彼だった。
「…よぉ。」
『青峰君…。』
名前を呼ぶと、距離を詰められ力強く抱きしめられる。
「心配したんだぞ…!部活にも来ねぇし、学校にも来てねぇって言うじゃねぇか!」
『…ごめんね。』
「お前、高校どこ行くんだよ。」
『誠凜ってところ。』
そう言葉にすれば、抱きしめる腕を強められる。
「…もう、名前では呼んでくれねぇのか?」
『青峰君…。』
「俺がお前の笑顔を奪っちまったのか…?…なぁ、一花、」
俺はどこで間違えた…?
その言葉に胸が痛くなる。
『青峰君…。』
彼の腕から離れ、彼の目を見て伝える。
『また、皆で笑ってバスケしよ…?私の願いはそれだけ。』
すると、青峰君は苦しそうな表情を浮かべて
「いくら一花の頼みでも、それだけはできねぇ…。俺に勝てるのは俺だけだ。」
『その考えは変わらない…?』
「…あぁ。」
『そっか…。』
最後にもう一度、強く抱きしめられる。
「いつか、お前の事迎えに行く。それまで待ってろ。」
その言葉を最後に青峰君は去っていった。
ー私達は別々の道を選んだ。お互いにまた巡り会うために。そして私は、あの頃の笑顔を取り戻すために。