第9章 練習試合
TOが終わり、選手達はそれぞれの位置に付く。
そのフォーメーションを見て黄瀬は少し驚きの声を上げた。黄瀬を徹底的に止めるための陣形に観客からも声が上がる。
(てかほぼボックスワンだな。とにかく黄瀬を止めようってカンジか。)
「……やんなるぜ、まったく。」
少し溜息をついた笠松は空かさず一蹴の3Pシュートを放つ。そのボールは弧を描きゴールへと吸い込まれていった。
「海常レギュラーナメてんのか?ヌリィにも程があるぜ。」
手厳しい言葉で非難される。
『やっぱり一筋縄じゃいかないか…。』
その後、火神が攻め黒子にパスを回す。
しかし、そのボールを取ろうとしる前に海常の選手にスティールにされる。
『…まずい。いよいよ効力が無くなってきている。』
「くそ…、ジワジワ差がひらく。」
誠凛のプレイにいよいよ焦りが出始めてきた。
火神がダンクを決めようとするが、黄瀬がそれをブロックする。
「アウト・オブバウンズ!!白ボール!!」
黄瀬が最後にボールに触れたため誠凛のボールとなるが、海常には一切の焦りは見られなかった。
「…そろそろ諦めたらどっスか?今の君じゃキセキの世代に挑むとか10年早えっスわ。」
「なんだと…!?」
黄瀬の諭すような言い方に火神が噛み付く。
「この試合もう点差が開くことはあっても、縮まることはないっスよ。」
その言葉に黒子や一花もピクリと反応する。
「チームとしての陣型や戦略以前にまずバスケは体格のスポーツ。キミらとウチじゃ5人の基本性能が違いすぎる。
唯一対抗できる可能性があったのはキミっスけど、だいたい実力はわかったっス。」
黄瀬は火神をジッと見据えた。
「潜在能力は認める。けどオレには及ばない。キミがどんな技をやろうと見ればオレはすぐ倍返しできる。」
その事実に火神はグッと押し黙る。
「どう足掻いてもオレには勝てねぇスよ。ま…、現実は甘くないってことスよ。」
そう火神に吐き捨てて、背を向ける黄瀬。
そんな黄瀬を笑い飛ばす声が一つ。
「クッ…ハハハハハ…!!」