第3章 分岐
閑散した体育館。
そこには「キセキの世代」と呼ばれる5人が集まっていた。
「これからはお互い敵同士だ。次は高校の全国の舞台で会おう。」
「…いやまぁ、そーっスけど。そんなに殺伐としなくても…。」
「たまたまバラけただけだしねー。」
「たまたま?…違うな。バスケ部は星の数ほどあっても全国常連の強豪となれば数はそう多くない。志望校がかぶることもあったはずだ。だがあえて同じ学校に行こうとは全員微塵も思わなかったはずだ。」
赤司のその言葉に全員が小さく驚きの反応を見せる。
「今ここではっきり代弁しよう。」
赤司が声高々と口にする。皆ほぼ同じ気持ちのはずだと…。
「そもそも僕らはキセキの世代などとひとくくりに呼ばれることを嫌悪している。もし戦えば必ず優劣がつくはずだし、自分より上がいるはずがない。」
その場の空気が一変する。
「それを証明するために、自分以外を淘汰しなければ気がすまない。理屈ではなく本能が。」
その言葉に渋々ながらも賛同する声が響く。
「まー…、そーっスよね。」
「だろーよ。」
「否定する気はないのだよ。」
「黒ちんにはわかんないだろーねー。」
「……いや。」
その言葉に、赤司は否定の意を示す。
「目指すものはまったく違うが、テツヤと一花も必ずこの戦いに加わるはずだ。」
「……!」
1人の少女の名前に全員が苦しそうに反応する。
「答えがまだすべて出たわけではない。だがそれでも決めたようだからね。」
ー自分らのバスケを曲げない覚悟だけは。