第8章 訪問者
「おい、三浦。カントクどした?」
練習中、ドリンクの用意をしていると日向先輩に声を掛けられた。
『さっき戻られてましたよ。スキップしてたみたいですし、試合オッケーだったみたいですね。…あっ、ドリンク必要ですか?』
「いや、いい。それより全員覚悟しとけ。」
日向先輩が部員全員に話しかける。
「アイツがスキップしてるってことは…、次の試合相手相当ヤベーぞ。」
相当ヤバイってどういうことなんだろう?
すごいマッチョの集団とか…!?
そんなことを考えていると、フーンフフーンという鼻歌と軽快な足音が聞こえてきた。
「あ、カントク…。」
テツ君が静かにリコ先輩の帰りを知らせる。
『カントク、お帰りなさい!!』
「ただいまー!!一花ちゃんってば今日も可愛いわね〜!!」
『あ、ありがとうございます。』
「ゴメンゴメン、すぐ着替えてくるから!」
『はい!』
リコ先輩はそう言って駆け出したと思いきや、もう一度体育館のドアから顔を覗かせ恍惚とした表情で告げる。
「…あとね
キセキの世代いるトコと試合…組んじゃったっ……♡」
………えっ?
「……!」
「な?」
「……!?マジ…!?」
『えぇーーーー!!!!』
私今日人生で一番声出した気がする。
「どうした、三浦!?そんなに驚くか!?」
『い、いえ、ごめんなさい!ちょっと動揺しちゃって…!』
「まぁ、別にいいけど…。そんなに嫌なのか?」
『いや、本当に驚いただけです!!』
「そうか…?ならいいけど…。」
『はい、練習中断させてしまってごめんなさい!!』
「あぁ、全然いいよ。…よし、練習再開するぞー!!」
「「「「うす!」」」」
まさか、こんなに早く対戦することになるとは。
キセキの世代がいるところって、誰がいるところなんだろう…?
中学で変な別れ方したから、なんか会うの気まずいな〜…。
でも、これはチャンスでもあるよね。
新しい光と影のバスケを見せることができる。
誰かは分からないけど、ちょっと楽しみになってきた。