第6章 幻の6人目
あんなにあったハンバーガーはあっという間に火神君のお腹へと吸い込まれていった。
『すごいね、火神君…。』
「そんなにすげぇのか?」
『うん、初めて見たよ。あんな量をこんなに速く食べる人。』
「それほどでもねぇよ。」
「別に褒めてないと思います。」
「なんだと…?」
『まぁまぁ落ち着いて。火神君も食べ終わったわけだし、そろそろ帰ろう?』
私がそう言うと帰る準備を始める二人。
お店の自動ドアをくぐり、外へ出る。
ちょうどその時、よっぽど気になっていたのか火神君がキセキの世代について話し始める。
「なぁ、一花。」
『何?』
「"キセキの世代"ってのはどんくらい強ーんだよ?」
『どういうこと?』
「じゃあオレが今やったらどうなる?」
物凄くワクワクした表情でそう尋ねてくる。
そんな顔で見られると言いづらいんだけど…、間違いなく、
「瞬殺されます。」
あっ、言っちゃった。
「おい、黒子。もっと違う言い方ねーのかよ…。」
そんな火神君を無視して続けるテツ君。
「ただでさえ天才の5人が今年それぞれ違う強豪校に進学しました。まず間違いなくその中のどこかが頂点に立ちます。」
『……。』
たしかにそれは紛れも無い事実。
彼らは強すぎる。
中学時代の彼らを思い出し少し暗くなった雰囲気を火神君が構いはしないといった様子で笑い飛ばす。
「いいね。火ィつくぜ、そーゆーの。」
『火神君…?』
「…決めた!そいつら全員ぶっ倒して日本一になってやる!」
そう豪語する火神君にテツ君の容赦ないツッコミが襲う。
「ムリだと思います。」
「ぅおい!!!」
これには思わず声を上げる火神君。
『私もムリだと思う。』
「一花まで…!」
『潜在能力だけならわからない、けど今の完成度では彼らの足元にも及ばない。』
「一花…。」
『一人ではムリだよ。テツ君…。』
振り返って彼の顔を見ると、テツ君もどこか覚悟を決めたような顔をしていた。
「…ボクも決めました。」