第6章 幻の6人目
「どーする?カントク。」
日向が問う。
その日は生憎の雨で、ロードワークを削った分の練習時間が余っていた。
「(一年生の実力も見たかったし…。)ちょーどいいかもね…。一花ちゃん!」
『はい!』
リコ先輩に呼ばれ返事をする。
「得点板の用意しといて!5対5のミニゲームやろう!…一年対二年で。」
『(早速来たか…。テツ君のバスケを見せる時が。)』
そうして急遽準備されたコート。
一年二年、それぞれビブスを着て軽く身体を動かす。
「センパイと試合って…!」
「覚えてるか!?入部説明の時言ってた、去年の成績…。」
『確か…、一年だけで決勝リーグまで行ってたはず。』
それがあの時の試合…。
一花は懐かしさに想いを馳せ、少し微笑んだ。
「何笑ってんだよ、三浦。フツーじゃねぇぞソレ…!」
『ご、ごめん!』
慌てて謝る一花の頭を大きな手がクシャクシャと撫でる。
『火神君…?』
「一花が謝ることじゃねぇ。相手は弱いより強い方がいいに決まってんだろ!行くぞ!!」
頼もしい火神の言葉に思わず笑顔になる一花。
『火神君の言う通りだよ!頑張って、みんな!!』
「「「「お、おう!」」」」
(…さ〜て、ルーキー達はどこまでやれるかな?)
整列する途中火神に声を掛ける黒子。
「火神君。」
「なんだよ。」
「一花さんにベタベタし過ぎです。」
「どうゆうことだよ!!」
「あんまり気安く触らないでください。」
「知るか!!」
一花はそんな会話が繰り広げられていたとは、知る由も無かった。