第3章 「覚醒と壊れゆく心」
~ルカ~
突然、私の目の前に現れたビド。
一瞬の出来事だった。
「………小娘には、死んでもらわないといけませんね。」
冷徹な瞳で、私を見て言う。
「……あ………。」
僅かに漏れる私の声。
「ルカーー!!」
カルツの声が、部屋中に鳴り響く。
『水』が、私を襲おうとする。
「っ、い………嫌ぁぁぁーー!!」
その時だった。
私が声を張り上げた時、私の周りから冷たい空気が流れ、『水』を襲う。
皆の動きが止まった。
『水』が、固まっていたのだった。
ジンが、掠れた声で言う。
「……ルカ、お前……。『能力』を使ったのか?」
勿論、使ったのか私は自覚がなかった。
ビドは、険しい表情をして私から離れる。
「『氷』の能力は、厄介ですね。これじゃ、僕が、不利ですね。」
ライドが、ビドに向かって言う。
「………ドウスル?ビド。」
ビドは、数秒考えて、悔しそうな表情をして言う。
「………撤退しましょう。アクチ達と、合流して………。」
「了解シタ。」
2人は、そんな会話をして消えていった。
私は、思わず膝から崩れ落ちその場に座る。
カルツが、複雑そうな表情をして私を見る。
「ごめん、俺がしっかりしてないから、ルカに酷いめに、合わせた。」
申し訳無さそうに、弱々しく言った。
私は、首を左右に振りニコリと笑う。
「私なら、大丈夫だよ。カルツそんな、顔をしないで。」