第2章 「始まり」
~ガジル~
俺は、ゆったりとミラドの体から離れる。
さっきのミラドを見ていると、今でも壊れそうな表情をしていた。
だから、抱き締めたんだ。
少しでも…………笑って欲しくて…………。
「…………ごめん。ガジル、ありがとう………。」
無表情のまま、ミラドはお礼を言う。
ポンとミラドの頭に手を乗せる。
「…………笑えばいいのにな。」
「…………私は………笑う事を忘れた。いや………笑えないんだ。」
ミラドは、そんな風に俺に言って、目線を広場に向ける。
その時、ミラドの動きが止まった。
俺は、ミラドの見ている方向に合わせる。
驚いた。
そこには、あの3人組がいたのだった。
まさか、こんな所にいるなんて………。
誰もが、思わないだろう。
(………なんで、あいつらが居るんだ?)
そう思っていたところ、3人組は何処かへと歩き始めた。
どうやら、こちら側には気づいてはないみたいだ。
「…………ん………で……。」
ミラドが、僅かに震える声で、そう呟いた。
「?ミラド?」
ミラドは、俺に背を向け………。
「…………何でもない。捜そう。」
そう言って、歩き始める。
ミラドの様子が、急に変わった事には正直驚いた。
ミラドが完全に、心を開くのは時間が掛かりそうだな。
俺は、ミラドの後を付いて行く。