第1章 「取り戻し」
~ルカ~
私は、最後までお父さんの見送りをして、自分の部屋にいた。
私は、昼間の事を思い出していた。
剣で、お父さんを殺したミラドという女が、憎かった。
私は、机の引き出しを開けた。
そこには、数本のナイフがあった。
私は、その一本のナイフを取る。
「…………絶対に、ミラドを殺す。お父さんの、敵討ちだ。」
ナイフを握り締める。
コンコン………。
ノック音が、聞こえてきた。
「……?どうぞ。」
私の許可がでて、扉が開いた。
「ルカ……ちょっと、いい?」
お母さんの声だった。
私は、頷いて部屋にお母さんを入れた。
私とお母さんは、ソファーに座る。
「ルカ………本当に行くの?」
お母さんは、そう言ったのだ。
明日、旅立つ事はお母さんに伝えた。
私は、頷いた。
「うん。カルツやジンと一緒に……。」
「そう…………。」
お母さんは、黙った。
私の考えでは、反対されると思っていたが……。
反対される事はなかった。
お母さんは、私の手を握って言った。
「気をつけてね?後は、貴方の『能力』に目覚めてね。」
「『能力』?」
私は、首を傾げた。
しかし、お母さんはクスッと笑って誤魔化していた。
その意味から、教えてくれないと思ったのだ。