第1章 「取り戻し」
「俺の父……つまり、お前の祖父から、伝えられた話だ。お前の持っている剣………大剣は、大昔に造られた物なのだ。そして、『この世が、又……再び悪に染まる時この箱は、開かれる。』っと、言っていた。」
俺は、大剣をギュッと握る。
(…………悪に染まる…………か………。)
俺は、大剣の傍にあった鞘を取る。
大剣を鞘に収める。
俺は、倉庫から出ようと歩き始めた。
親父の顔には、複雑な表情をしていた。
俺は、見逃さなかった。
親父の横を通り過ぎ、背を向けたまま足を止めた。
「………親父、そんな顔をするな。これは、俺が決めた道だ。それに、誰がアイツの背中を守る?親友である……………俺だ。そういう事だ………。じゃぁな、親父。」
俺は、一歩踏み出した瞬間…………。
「ジンっ!!」
親父の叫び声で、俺の足が停止した。
最初は、何事かと思った。
もし、俺の邪魔をするなら、俺は恐らく親父を殴るだろう。
俺は振り向く。
親父は、俺に背を向けたまま言った。
「…………明日、出発だろ?俺からの条件は………死ぬなよ?」
意外な言葉が、返ってきた。
俺は、フッと笑った。
「……あぁ。その条件……呑んだ。」
親父も、フッと笑っていた事に、俺は気づかなかった。