第1章 「取り戻し」
~ハルツ~
私は、フと目を覚ました。
ゆっくりと、上体を起こす。
(………寝ちゃったんだ………。)
そう思って、ベッドから降りる。
そういえば……誰かに頭を撫でられていたような気がする。
とても、優しくて………………温かった。
久しぶりに感じた。
私は、外を見ると………すでに夜に近かった。
そして、意識が無くなる前の出来事を思い出した。
(………ガジルに、お礼を言わないと。)
そう思って、私は部屋を出た。
ガジルの部屋までは、そう遠くはない。
廊下を歩いていると…………。
「お前、こんな所で、何をしてるんだ?」
後ろから声をかけられた。
私は、振り向くと………アクチがいた。
「………何か用?」
私が、そう言うとアクチが………。
「ハッ!随分と不機嫌だな?」
そう言ってきたが、どこか黒い笑みをしていた。
そして、私に向かって一歩、踏み出す。