第6章 「明日という希望」
いや、寧ろ逆に笑いを堪える姿だった。
ベレスは、違和感を持ちシードに問う。
「何が、そんなに可笑しい?」
「ベレス、今まで気づかなかったのですか?あれは、全て…………『幻』です。」
ベレスの眉が、ピクッと動く。
ハルツやヴェグラートだって、驚いていた。
シードは、いつも通りの口調で言った。
「僕の本当の能力は…『幻』を見せる事。」
ハルツやヴェグラート、ベレスは、驚きの表情をする。
それに、俺達もそうだ。
確か、シードは『水』を操っていなかったか、と思っていた。
しかし、『幻』ならば、そんな事も可能だと言える。
ヴェグラートは、戸惑いながらもシードに質問する。
「じゃあ…今まで俺達が殺して来た人は………。」
「はい、全て僕の『幻』です。誰一人も、死んでいません。」
冷静な口調で、シードは答える。
しかし、ルカが急に声を張り上げる。
「何言ってるの!私のお父さんは、死んだんだよ!」
「貴方のお父さんも、生きています。あれは、偽物です。」
シードの言葉に、固まったルカ。
そして、ヘナヘナと床に座り込む。
ルカは、泣きながら生きている、と呟いていた。
シードは、ハルツを見て言った。
「ですから、ハルツ…貴方も誰一人も殺してはいませんよ。安心して下さい。」
「……本当に……?良かった……。」
ハルツは、安心した笑みを浮かべる。
俺は、その笑みを久しぶりに見れて、頬が緩んでいく。
「ビド、貴様………。…ならば、此処でまとめて始末をする。」
「この人数では、貴方は勝ち目───っ!!!!?」
シードの言葉が、途中で途切れる。