第6章 「明日という希望」
「ヴェグーーーーッ!!」
私は、ヴェグに向かって叫ぶ。
だが、今の私は無力だった。
足に力が入らず、その場に崩れる。
そう、歩く事すら出来なかった。
動けない私を見たベレスは、私にもう一度刀を振り上げるが………ヴェグの武器が飛んできて、ベレスは私から離れる。
「何の真似だ?ヴェグラート。」
ベレスは、ヴェグに聞く。ヴェグは、私に近づき抱き寄せる。
私は、ヴェグの腕の中にスッポリと入る。
「こいつは、殺させねぇ。こいつは………ハルツは………俺にとって、一番大切な奴だッ!!そう、親父よりも大切な存在だ!」
ヴェグは、ベレスに向かって叫ぶ。
未だ、ヴェグが言った言葉に理解が追いつけなかった。
ヴェグは、ギュッと私を強く抱き締める。
私の心臓は、高まる一方だ。
ヴェグは、私をみる。
それも、今まで見てきた瞳とは違っていた。
「タイミングは、悪いが……。今言う…。───好きだ、ハルツ。この世で、一番大切な人だ。俺と共に、道を歩んでくれないか?」
私の頬には、涙が流れ始める。
その言葉は、とても温かさが伝わってきた。
「うん。私も、貴方と共に歩んでいきたい。大好きだよ、ヴェグ。」
私の言葉に、ヴェグは驚きの表情を見せるが、すぐに優しい瞳になる。
「あぁ、ありがとうな……。ハルツ。」
その時………。
「ヴェグラート…………貴様………。」
ベレスの低い声が、聞こえてきた。