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朧月夜

第1章 【裏】息抜き/あんスタ蓮巳


笑顔でいう水瀬さんはドライヤーを片手に髪を乾かし始めました。手つきはやっぱり丁寧で気持ちよくてまたうとうとしてしまいました。眠気を脱却するために私はお話をすることにしました。

「あの、水瀬さんは…主人の担当をされているんですか?」
「え? そうですね、先日初めて来られた時はさせていただきました」
「え? 初めて?」
「はい。うちの主人と蓮巳さんが仲良くて、私はそんなにお話はしたことないですよ」

敬人さんが予約するくらいだからよく来ているのだと思っていたのですが、むしろ来ておらず、水瀬さんのご主人と仲がいい方に驚きました。敬人さんと仲の良い人は限られるはずなのですが、水瀬さんという方はいなかったはずです。

「そ、そうなんですか…」
「はい。主人からも奥様には学生時代から世話になってると聞いてます」
「え? 学生時代ですか?」
「はい」

学生時代ということは、敬人さんと一緒だったのは高校なので…夢ノ咲出身の方でしょうか? その中で敬人さんが家に行くほどとなると…英智様か…それともまさか…

「もしかして鬼龍先輩の奥様ですか?」
「はい。いつも主人がお世話になっています」

鬼龍先輩といえば、私たちよりも早く結婚されています。式当日は所用が重なって行くことは叶いませんでした。敬人さんに見せていただいた写真では座ってらしたので身長は分からなかったのですが…他は…あ、眼鏡をかけていらっしゃるからわからなかったのかも知れません。式のお写真では眼鏡を外されていましたから。

「こちらこそ、いつもお世話になっています。あ、それで…」

敬人さんがここを選んだのは鬼龍先輩の奥様が働いていらっしゃるからだったのかもしれません。考えてみれば、紅月の奥様達と私は一度もお会いしたことがありませんでした。機会もありませんでしたし、接点もなかったですからね。

「さ、髪も乾いた所でお着替えしましょう」

案内されたフィッティングスペースには綺麗なミントグリーンの胸元の開いたロングドレスと黒レースのストール、黒のミュールでした。

「こ、これは少し露出が…」
「そうですか? 綺麗でスタイルも良いから似合いますよ」
「そ、そんなことありませんよ」
「まあまあ、そう言わずに…」
「ひゃあっ」
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