第4章 【裏】ほんの少し/あんスタ神崎
良かった…ゆめが笑って頷いてくれた。最近は仕事ですれ違っていたこともあって、2人で食事をとることも、作ることもなかったから、共にいられる時間も少なかった。その分だけゆめは浮かない様子であったから…
「ご馳走様でした」
「ご馳走様でした。片付けるから颯馬くん、お風呂先にどうぞ?」
「いや、今日は一緒に片付けさせてくれ。その方が早く終わって、2人でゆっくり出来るであろう?」
「でも、夕飯の支度も一緒にしてくれたのに…疲れない?」
「その後で存分に共にゆっくりするから大丈夫だ」
一緒に夕餉の片付けをして、風呂に交代で入った。我が先に入り、ゆめが今入っているところだ。我はいつものように髪の手入れをして、ゆめが上がってくるのを居間で待っていた。
「お待たせ…お茶飲む?」
「あぁ……」
居間に来て台所に向かうゆめをみて、我は驚いた。いつも風呂上がりはぱじゃまを着ているゆめが今夜は浴衣を着ていた。髪は簪で上げて留めていた。普段見えない項が、風呂上がりで火照ったように薄桃色で艶っぽい。
「どうかした? 颯馬くん?」
「あ、いや、なんでもない。お茶、ありがとう」
「……やっぱり変だったかな? お義母さまがこの間送ってくださったから着てみたんだけど…」
「そ、そんなことはないぞっ。よく似合っておるっ、ただ…」
「ただ…?」
お茶を入れて持ってきてくれたことに礼を言ってからお茶を飲むと、隣に座ったゆめが不安そうに袖を握りながら恥ずかしそうに言うと、我はそれを否定した。浴衣が似合っているのも、見とれていたのも本当だ。ただ…
「あまりにも仕草が艶っぽいから…その…手が出そうになるのだ…」
「……ふぇ!?」
正直な思いを話すと、ゆめは理解出来たと同時に顔を赤くしてあたふたとしだした。それがなんだか愛らしくて、先程までの艶っぽさはまだ残っていて…
「ゆめ…」
こんなに魅力的な妻は他にいない…腕の中に閉じ込めておきたいくらいだ。
「そ、颯馬くん…?」
「今夜は久々に触れてよいか?」
「え、えっと…」
ゆめは恥ずかしそうに、だが少し瞳にそうでない色を感じた。