• テキストサイズ

朧月夜

第4章 【裏】ほんの少し/あんスタ神崎


「鬼龍殿から頂いたのだが、試しに行ってみてはどうだ?」

 久々に颯馬くんと夕ご飯を食べた時に渡されたのは美容院の紹介カードだった。美容院の名前は有名なところで人気もあると聞いている。鬼龍先輩の奥さんが美容師だというのも聞いてたけど、まさかそこだとは思わなかった。

「蓮巳殿がへっどすぱが絶品と言っておったぞ!」
「髪なら颯馬くんの方が行った方がいい気がするんだけど…?」
「我は別にもらっておるから気にするな!」
「そうなの?」

 なんか分からないけど、颯馬くんが行ってほしそうな感じだったから行くことにした。
 予約の時に紹介カードに書かれていた番号を聞かれたんだけど、それが何を意味するのかわからないまま美容院に来た。

「いらっしゃいませ。ご予約の神崎様ですね、お待ちしておりました。本日担当させていただきます、水瀬です。よろしくお願いします」

 迎えてくれた美容院の人は私よりも小柄なのにとても綺麗で、優しそうな人で…どこか見覚えのあるような気がした。
 個室に案内されて、荷物も置かせてもらって椅子に座った。

「今日はリラクゼーションコースをさせていただきますね」
「は、はい。お願いします」
「そんなに固くならなくて大丈夫ですよ。のんびりしてください」
「は、はい…」

 まずヘッドスパをすることになった。シャワー台までまさか椅子に座ったまま移動することになるとは思わなかった。びっくりしている間にシャワー台についてしまった。それから水瀬さんは傍にあったアロマディフューザーを触っていた。

「なんの香りですか?」
「ベルガモットです。リラックス効果がある香りなんですよ」
「よくアロマを使ったりしてるんですか?」
「仕事ではお客様に好評なので使ってますが、家では使いませんね」
「そうなんですか?」
「はい。香りより温もりに癒されると言いますか…すみません、変な事言ってしまって」

 頬を赤くしながら苦笑いで話す水瀬さんはなんだか可愛らしくてほっこりしてしまった。ヘッドスパはとても気持ちよくて、最近仕事や家のことで疲れが溜まってたのか段々眠くなってしまった。

「終わったら起こしますので、寝ててください」

 優しい声と手つきに眠気が増してきた……
/ 47ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp