第4章 【裏】ほんの少し/あんスタ神崎
「……はぁ」
「どうした、神崎」
「何か悩みでもあるのか?」
「む?」
どうやら我は無意識のうちに鬼龍殿と蓮巳殿にご心配をかけていたらしい。
「何かあれば相談にのるぞ?」
「いや、その…」
「まさか嫁のことか?」
「……!?」
「当たりのようだな」
蓮巳殿に言い当てられてしまった。
そう、悩みは嫁であるゆめのことだ。ゆめとは見合いで知り合い、交際を経て結婚した。仲は悪くない。だが、何かが腑に落ちないのだ…それが何かまではわからないのだが、最近少し元気がないように見えるのだ。
「俺も人のこと言えねぇが、嫁との時間はなるべく作れよ」
「貴様は時間を取りすぎてないか?」
「お互い無理のない範囲だっての…そうしねぇと1人で背負い込むからよ…前も忙しくて休みも寝てた時なんて1人で家のこと全部してるし、隙がないように見せてくるから不安でな」
「そんなことがあったのか?」
「あぁ、結局俺のせいで背負い込ませたようなもんだからな…そっからはまあ…前よりは甘えてくれるようにはなったかな」
鬼龍殿の嫁殿には高校時代よく世話になっていた。学科は違えどもあの方の料理や裁縫などの腕前は並以上であり、技術も持っていらした。その分他の部員よりも働かれている印象も強かったので、鬼龍殿の話を聞くとその頃が思い浮かんだ。
なるほど。もしかしたら、そういうことなのかもしれん…
「鬼龍殿、蓮巳殿」
「どうした、神崎?」
「少しお聞きしたいことがあるのだが…」
これで少しはゆめも楽になってくれると良いのだが……