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誰ガ為ノ戯曲

第2章 トリップ


夜歩きと邂逅【side静雄】

その日、静雄は上手く寝付けずもう深夜に近い時間帯にも関わらず外に煙草を吸いに出ていた。いつも見ているはずの街が、まるで違う街のようだ。街というものは時間帯が違うだけでこうも違って見えるらしい。基本深夜に起きていることは少ない静雄だが、静かな街は悪くない。それに、頰に当たる夜風は薄着の静雄にも存外優しく、心地よい。今度から夜中にも起きてみようか。そこまで考えたところで静雄の鼻が不快な匂いを察知し、手のひらの中で灰皿が潰れた。_____また灰皿壊しちまったじゃねえかノミ蟲ぶっ殺す。そんな物騒なことを呟きつつ静雄は不快な匂いの根源を追いかけ始めた。

今回の喧嘩は深夜なので野次馬が少ない。さらに夜遅くだから寝ていると思っていたのか向こうはこの追いかけっこを予期していなかったらしく、比較的簡単に追い詰めることができた。が、ふっと気を抜いた瞬間に臨也は静雄の腕をかいくぐり、逃走する。その臨也を再び追い詰めるべく静雄は自販機を振りかぶって投げた。

結果から言うと静雄が臨也を追い詰めることはできなかった。なぜなら、臨也は自販機が当たる寸前で横の裏道にそれだからだ。そして_____その自販機は臨也とすれ違う形で路地裏から出てきた少年にぶち当たった。
「え…え、おい、大丈夫か⁉︎」
少年は応えない。静雄は慌てて携帯電話を手に取り、知り合いの闇医者、岸谷新羅を呼び出した。
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