第13章 うぉーあいにー ✳︎白澤✳︎
鬼灯様と衆合地獄の偵察に向かう為、花街を通っていると
ある店の前が人だかりになっていた。
「鬼灯様。あれ、なんですかね?」
私が人だかりになっているところを指さすのと同時に、鬼灯様は持っていた金棒をぶん投げた。
投げ出されたそれはきれいに人だかりの中心へと落ちていき……
「いっっってぇぇ!!」
……誰かに当たったらしい。
まぁ誰なのかは予想がつくが……
いきなり降ってきた金棒に驚いた人たちは、自然とこちらを見た後に
鬼灯様の威圧感に負け自分達の仕事へと戻っていった。
「こんな所で道をふさがないでくださいよ。牛目」
「だーかーら!僕を分類するなぁァ!!」
人だかりの中心にいた人物は
鬼灯様が最も嫌悪している相手
中国神獣の白澤様だった。
それにしてもあの人だかりで白澤様のいるところが瞬時に、しかも的確にわかるなんて鬼灯様は本当にすごいな……
妖〇アンテナならぬ神獣アンテナでもあるのかな
「あ!ちゃんだ!你好!」
名前を呼ばれて、胸が高鳴る。
それを悟られないように挨拶を返す。
「你好。白澤様。」
「おや、さんは中国語が話せたのですね」
「はい。最近習い初めたばかりなんです。中国をはじめ、いろんな国と外交をするので少しくらい話せた方がいいかなと思いまして」
「仕事熱心だねー!中国語なら僕に聞いてくれればいつでも教えてあげるのに〜」
「そんな、滅相もない。白澤様だってお仕事お忙しいでしょう?」
あぁ……せっかく白澤様がいい提案をしてくださったのに、私ったら本当に可愛げがない……
「大丈夫大丈夫!仕事しながら教えてあげるから!ついでに夜のお勉強もする?」
そういいながら私の手をとる
か、顔が近い!!!
「そ、それはけっこうです!」
「ちぇー」
びっくりした……!!
顔、赤くなってないかな……
「……さん、そろそろ衆合地獄に行かないと」
「あ、そ、そうですよね!早く行きましょう!!!それでは白澤様、また!」
ぐいぐいと鬼灯様を押しながら足早にその場を離れる
その後、視察中でも胸はドキドキしたまんまで
何を考えても白澤様の顔が浮かんでしょうがなかった。