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鬼灯の冷徹 *短編集*

第7章 マワレマワレ*白澤*



次の日、店へ電話して風邪をひいたので休むということを伝えた。
電話に出たのは桃太郎さんだった。
彼はすごく私を心配してくれて、薬を持っていきましょうか?と聞いてくれたけど大した熱ではないからと断った。

「さて、今日はやることいっぱいあるぞー!」

まず、部屋の片付け
立つ鳥跡を濁さずとはこのことだ。
白澤様が女好きだということを知ってから私は店での寝泊りをやめようと思い、この部屋を借りた。
部屋は白澤様に借りた薬草の本でいっぱいだ
はやく一人前の薬剤師になりたくて、夜中まで勉強したっけなぁ・・・・・

一つ一つの物に、一つ一つ思い出があって
泣きそうになって、片付けるのをやめようかと思うくらい辛くて
それでも手を休めることはなかった。

どうせ忘れてしまうなら、いま一つ一つ思い出そう。
そう思った。

机の中を整理していると、棚の奥から長細い箱が出てきた。
なんだろう・・・・・これ?

開けてみると、以前白澤様にプレゼントしてもらった
簪が色褪せることなく綺麗に収められていた。

「あぁ・・・そういえばこれ、一度もつけてないなぁ・・・」

最後だし・・・・・これをつけて転生するのもいいかもしれない。
綺麗な青いトンボ玉のついた簪をドレッサーの上に置くと、また部屋の片付けを始めた。
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