第5章 金魚草のない花屋❇︎鬼灯❇︎
人が必死で謝っている時になぜこの人は笑っているのだろう・・・・・?
「貴女、本当に面白いですね・・・・」
口元を手で隠しながら笑っている鬼灯様。
・・・・・レアかもしれない。
「あ、あの・・・・・」
「なんでしょう?」
「その、補佐官様に無礼なことをしてしまったのでなにかお詫びをさせていただきたく存じます・・・・」
「そうですねぇ・・・・・じゃあ・・・・・」
そういうと彼はいきなり携帯電話を取り出した。
「連絡先。教えてください」
「・・・・・へ?」
「へ?じゃありません。連絡先を教えてください」
「は、はい?」
鬼灯様に言われるがまま携帯電話の番号を交換し合う。
「・・・あ、お名前は?」
「です。」
「さんですね・・・。これでよし。」
「あ、あの・・・いったい何を・・・・・?」
「今度、金魚草の展覧会みたいなのがあるんですが・・・」
「はい。」
「それについてきてくれれば、今回のことは水に流します。」
「え。そ、それだけでいいんですか?」
「はい。日時が決まり次第連絡しますね。」
「あ、はい。わかりました。」
「あ、そうそういい忘れてました」
「なんでしょう?」
「デートですから、可愛い格好してきてくださいね。・・・・まぁ。そのままでも充分可愛いですが。」
「は・・・・?」
それでは、と軽く会釈をすると
彼はキンギョソウの鉢を抱えて去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
しばらく固まっていたであったが
みるみるうちにその顔はキンギョソウのように紅くなっていった。
「・・・・・もう!!なんなのあの人はぁぁあ!!」
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『金魚草』の無い花屋