第5章 金魚草のない花屋❇︎鬼灯❇︎
花街といえば夜の街。
昼間は獄卒やらが忙しそうに店の前を通り過ぎてゆく。
おかげで店をあけてからお昼をすぎるまでは閑古鳥が鳴く状態が続く。
「まぁこれはこれでありがたいんだけどね・・夕方になると水換えさえできないんだから・・・・」
お客さんがいなくとも、はバタバタと忙しそうに店中を走り回る。
(この仕事終わったらポップ書かなきゃ・・・・)
なんてぼーっと考え事をしていたら、足元のバケツにつまづいた。
(やば・・・・・転ぶ・・・!!)
瞬間、は固く目を閉じた。
・・・・・が、いつまでたっても地面にぶつかるような感覚がない。
(あれ・・・・・?)
恐る恐る目を開けると目の前に黒い物体が・・・・・
?「間一髪ですね。」
「えっ・・・?」