第3章 不思議な人✳︎白澤✳︎
「女の子がこんな遅くに一人でこんなとこ歩いちゃダメだよ?変な男に捕まったらどうするの?・・・僕みたいな・・・ね?」
まずい・・・わたしとしたことが
こんな男に気を許すなんて
しかもいつの間にか壁ドン状態だし・・・
「あ、あの・・・」
「ん?なに?」
「そ、その離していただいてもいいですか?」
「んー・・・やだ」
「そ、そんな」
これは本格的にまずいぞ・・・
助けを呼ぼうか・・・
「ねぇ君さ・・・・・・鬼灯のこと好きでしょ?」
"鬼灯"
というワードを聞いて私の頬は無条件に赤くなる
「そ、そんなこと!」
「顔真っ赤だよー?図星なんだ?」
「ち、違います!」
「むかつくなぁ・・・」
途端、彼の顔がもっと近くなり
耳元で囁くように彼はこう言った
「僕、君のこと欲しくなっちゃった」
「・・・・・・・・・え?」
自分でも間抜けだと思うような声が出た。
「そ、そんな今日初めてお会いしたばかりなのに」
「そんなことどうでもいい。お互いのことなんてこれから知っていけばいいんだから」
「で、でも・・・」
あぁ・・・なんだろうこの人
不思議だ。初めて会ったのに
すごく・・・・・・吸い込まれていきそう
「まぁ、今日はこれくらいにしておいてあげるよ」
そういうと彼は私を解放し、ひらひらと右手を振りながら賑やかな花街の方へ向かう
「え、まって私まだお名前を・・・」
「僕の名前は白澤。また会おうねちゃん♪」
「な、なんで私の名前・・・」
「・・・・・・さあてなんででしょう?」
そう言って彼は・・・白澤は不敵な笑みを浮かべた
→あとがき