• テキストサイズ

鬼灯の冷徹 *短編集*

第3章 不思議な人✳︎白澤✳︎


「初恋は実らない。」

だなんて。
誰がこんなことを言ったのだろう?
いや、まぁ確かに全くもってその通りなんだけど

「……鬼灯様。」

大好きな思い人を頭に浮かべながら帰路に着く。

少しでもあの人に近づきたくて
私は獄卒になった。
死ぬ気で働いて。
彼に見てもらいたくて
やっとの思いで手に入れた閻魔大王第2補佐官という役職。
彼の近くで仕事をすることが、すごく。すごく幸せだった。
だけど…
その役職ももう意味がない。
だって…………

彼はお香さんと付き合ってるんだもの。


信じたくない。でも、この目で見てしまった
鬼灯様とお香さんが手を繋いでデパート内を歩いている姿を。
とても幸せそうな2人の姿が
目に焼き付いて離れなかった。

「いやな休日だなぁ…」

明日からどんな顔して会えばいいのか
彼の顔を見ただけで泣いてしまいそうだ

目頭に熱いものが込み上げてくる

ここで泣いちゃダメだ…!

早く家に帰ろうと下を向き、早足で歩いてると

「「いたっ!?」」

…誰かとぶつかってしまった。

「ごめんね?大丈夫?」

私も謝らないと、と顔を声の主の方へ向ける

・・・・・・が、私の口からでたのは謝罪の言葉ではなかった。




「・・・鬼灯・・・・・・様?」



/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp