第1章 ヤキモチなんて*白澤*
ここは天国。桃源郷。
平和を象徴したようなこの場所に、朝っぱらからひときわ大きな声が響く。
白「………うそだろぉぉぉぉぉお!!?」
………なんだか今日は波乱の予感…?
ところかわってあの世鉄道カムパネルラ号の電車内。
は閻魔殿へと向かっていた。
「………………ゼッタイ許さない」
さっきからケータイのバイブ音が忙しなくなっている。
きっと白澤がが置いていった伝言に気づいたのだろう。
「……うるさいなぁ」
そんな言葉とともに、ケータイをかばんにしまう。
ざまあみろ。なんて強気に思っていても、は不安な気持ちが隠せないでいた。
白澤と付き合い始めたのは、つい最近のことである。
女ぐせを絶対に治す。という条件のもとは白澤と交際を始めた。
……のはいいのだが
本人に女ぐせを治そうという気が全く見られない。
それどころか、ヒートアップしていった。
店に来る女の子全員にナンパをし、暇さえあれば衆合地獄にくりだし、さらには家にまで連れ出す始末
いままでいろいろ我慢してきたでも、さすがに我慢の限界だったのだ。
黄昏時の針山を眺めながら、閻魔殿に着いたらなにをしようか…
そんな風に考える。
そうだ、鬼灯様に愚痴を聞いてもらおう。
私がおごるからとか何とかいえば、あの人はきっと一緒に呑んでくれるはずだろう。
それとも、甘味所にいこうか…
すっかりバイブ音が途絶えた携帯に手をかけ
鬼灯様のアドレスをだす。
送信すると、2、3分おいてから返事が来た。
呑みにはいけないが甘味所はOKらしい。
彼が好きそうな甘味所を頭に思い浮かべながら
電車を降りた。