第4章 歌
キィィイ……
「!おかえりなさい、荼毘さん!」
「あぁ……機嫌良さそうだな」
「お出かけ先でちょっとお友達が出来まして!」
日没ちょっと前くらいに戻ってきた荼毘さんに機嫌が良さそうなことを指摘されて、友達(出久くん)が出来たことを上機嫌で報告する。
と、荼毘さんの顔がちょっと曇った。
「友達……そいつ表のやつか?」
「そうですよ〜」
コクリと頷く。
私に裏社会の友人が出来るわけない……
荼毘さんの言う“表”っていうのは、裏であるヴィランと真逆で陽の当たる世界を生きてる人の事。
出久くんは雄英高校ヒーロー科、ヒーロー志望の金の卵だから日が当たりすぎて輝いてるレベルだ。
「お前“こっち側”って分かってるよな」
「わ、分かってますよ…」
でもそうだなぁ……仲良くなったら後で、敵として会った時ちょっと辛いかも。
私がヴィラン側を辞めてヒーロー側につけばいいだけの話なんだけど、荼毘さんにはかなりの恩があるし……
と言いつつ3割位は“荼毘さんから逃げて一市民になったら原作に関われないじゃん!”って思いも無きにしも非ずなんだけど。
それに悪役にちょっとだけ……ちょびっとだけ憧れが
そんなことを考えつつ、私戦闘能力皆無なので戦闘の時とか足でまといにしかなりませんけど、と言うとため息をつかれた。