第2章 荼毘
そんなことを悶々と考えていると、荼毘さんはその辺の壁にもたれ掛かる。
どうやら寝るらしく、私にもその辺で寝るように促してくる。
壁に凭れたまま瞳を閉じるその姿はどうしても無防備に見えてしまって。
「……こんな一般常識も知らないような訳わかんない女の近くで寝ても大丈夫なんですか…?寝込みを襲われたりとかそういうのは」
私が言うのもどうかと思ったものの、つい気になってしまう。
個性も分からない女なのに。
多分無いけど。
「夜這いにくるのか?意外と大胆だな」
「は!?ち、違いますよ!」
片目を開けた荼毘さんの発言を即座に否定する。
何言ってんだこの人!
顔を赤くして慌てる私を鼻で笑う。
「はっ、で?寝た隙に俺を殺そうって?」
「やりませんよ!そんなことしませんけど!不思議っていうか……個性も、分からないのに」
尻すぼみに俯く。
「言われて見りゃそうだな。まァ殺る気なら自分からンなこと言うわけねぇし……」
“仮にそうでも返り討ちにすりゃ問題ねぇよな?”
そう言った荼毘さんの殺気に震えた。
何かしようものなら絶対殺られる。
そういう目だった。