第29章 波乱の予感
広間。
加州「ねぇ、主見てない?」
蛍丸「さあ…見てないけど。そういえば、三日月も見ないね?」
三日月「ほう、集まっているな。そろそろ夕餉であろう?」
私を抱いたまま三日月が広間に入った瞬間、集まっていた刀剣男士が全員…凍り付いた様に視線を向けてきた。
最初に沈黙を破ったのは加州だった。
加州「ぇ…主、どうかしたの?」
主「ぁ…あー…あはは。ちょっと転んで腰、痛めちゃって…」
我ながら、苦しい言い訳だった。
蛍丸「え…大丈夫なの?言ってくれたら、俺が迎えに行ったのに」
主「ありがとう、ほたるん!ああもう…優しいなぁ、ほたるん!」
心配そうに眉を下げ、歩み寄って来た蛍丸の頭を撫でる。
蛍丸「じゃあ、主は俺の隣でご飯だよ?」
そう言うと、三日月の腕から私を受け取り、自分の隣へ連れて行って優しく座らせてくれた。
愛染「今日はあれから主さんの顔が見えないから淋しいって、皆騒いでたんだぜ?」
包丁「人妻じゃないけど、俺だって主の顔が見れないと淋しいって思うんだぞーっ」
物吉「何事も無かった様で、安心しました」
小夜「柿…また兄様に採って貰ったので、一緒に食べたいです」
薬研「何かシてたんじゃねぇよな、大将?」
ビクッ!
愛染、包丁、物吉、小夜の言葉を和やかに聞いていた私だったが…薬研の一言に大きく肩を跳ねさせた。
いきなり変な言い方するの、止めようよ…薬研。
主「鍛刀してる時に滑って転んじゃってさ…痛いし待ってる間暇で、そのまま寝ちゃってたの」
若干焦りつつではあったが、何とか誤魔化せただろうか…?
でもまあ、朝も夜もショタ達とご飯が食べられるなんて…幸せだなぁ。
燭台切手製の料理を、この温かく可愛らしい輪の中で仲良く食べたのだった。