第28章 熱情の三日月(*)
こんのすけ「そんなにお寂しいのならば、誰かお誘いになれば宜しいでしょう。私はこれから本日限定発売の極厚油揚げを買いに行くので忙しいのです、では!」
ポンッ!
という音と共に、僅かな煙を残してこんのすけは姿を消してしまった。
勝手だ…私より油揚げが大事なんですか?っていうか極厚油揚げ…ちょっと気になる。
其れにしても、やっぱり一人は暇だし孤独だ。
主「だーれーかーーー!」
何て、誰も来る訳無いよね。
と、半ば諦め気味に溜め息を吐いた瞬間。
三日月「…っ、どうした!?」
バンッ!!と、勢い良く扉が開かれた。
驚きでビクッと肩が大きく跳ねる、見れば血相を変えた三日月と目が合った。
主「ヒッ!?び、びっくりしたぁぁ…」
三日月「敵襲か?それとも怪我でもしたのか?」
珍しく慌てた様子で座り込んでいた私の前に跪き、顔を覗き込んで来る三日月。
近くで見ると、瞳の中に浮かぶ三日月がとても不安げに私を映していた。
主「ご、ごめんなさい…あの、鍛刀をしてて」
三日月「…?」
主「一人で一時間半も待たないといけなくて。な、何だが寂しくて…つい」
申し訳ない気持ちに眉が下がる。
そんな私の頬に優しく触れると、顔を寄せ僅か不安げに見詰めて来る。
ああ…本当に心配を掛けてしまった様だ。
三日月「本当だな?何処も怪我等はしておらんのだな?」
主「ん…本当。三日月、心配させて…ごめんなさい」
すると、ふわりと優しい香りが私を包み込む。
三日月「…良かった」
主「…え」