第27章 個性的な三振り
少し不安気に見える宗三と、盆を持つ私と目が合った。
宗三「べ、別に昨夜聞いていたので貴女が料理を作ったのかと思っただけですよ。決して貴女の料理が食べたい訳ではありませんので、変な誤解など為さらぬ様にっ」
フイ、と顔を背けてしまう宗三に次は此方に不安が押し寄せる。
あ…作っちゃいけなかっただろうか。そうだよね、燭台切の料理の方が遥かに美味しいもん…。
主「あ…ごめん。燭台切の方がお料理上手だもんね、勝手に作っちゃって…ごめん」
小夜「兄様…主様をいじめるの、駄目だよ」
宗三「なっ、お小夜…僕は決して」
小夜「泣かしたら、兄様でも…許さない」
怒気の含んだ声音を発する小夜に、僅かばかり気持ちが軽くなる。
すると、腕組みをして顔を逸らした宗三がぼそりと呟いた。
宗三「食べてみたかったですよ、僕だって。あれだけ自慢されて…腹立たしい」
え?
私がきょとんとしていると、江雪がこっそり耳打ちして来た。
江雪「私の弟は素直では無いのです。本当は私含め、お小夜も宗三も…主様の手料理を食してみたかったのですよ」
………。
いざ教えて貰うと、今度は照れ臭くなってしまう。
私と宗三は、共に頬を赤らめていた。
燭台切「これは……見た事も無い料理だね。今度、作り方を教えてくれるかい?」
主「もちろん!」
薬研「へぇ…じゃあ、大将の調理法は俺が研究するとするかな?」
にやり、と不敵な笑みを浮かべて見せる薬研。
もう駄目だ…彼には朝も夜も関係無いらしい。
下ネタ禁止令でも出してやろうかな…?
でも可愛いと思ってしまうのは、きっとあの短パンのせいだ!うん、きっとそう。