第67章 憤怒
不動の否定とも肯定とも言えぬ曖昧な返答に再び長谷部が口を開こうとする、私は長谷部の口を両手で塞ぎながら再び不動に声を掛け様とすると…。
不動「俺みたいなダメ刀に何を期待してんだか…」
主「誰?」
不動の言葉を耳にして、私は彼の前に正座をして座った。
彼を真っ直ぐに見ては問う。
不動「は…?」
主「誰が言ったの?不動の事をダメ刀なんて」
不動「俺は…信長様を守る事が出来なかった。主に恩を返す事が出来なかったダメ刀なんだよ!誰かに言われた訳じゃ…っ」
不動が胸の内を吐き出す様に叫ぶ。
膝を立てて首に腕を回して抱き寄せ、ぎゅっとその頭を抱き締める様にして彼の頭を撫でる。
不動「な…っ!?」
主「不動は織田信長が大好きなんだね。でもね、それと同じくらい、私は不動が好きだよ?」
不動「俺が…信長様を想う…くらい…?」
主「そう。だから、不動が自分で自分の事そんな風に言うの聞きたくないって思っちゃって…いきなりごめんね?」
僅かに体を離して彼と目を合わせた瞬間、甘酒を呑んで既に紅くなっていた頬が更に紅く染まる。
すると、不動はフイッとそっぽを向いて呟いた。
不動「変なヤツ!」
その言葉は胸に突き刺さる様な鋭い棘の様な物ではなくて、優しくも少し照れ臭さの交じった物。
周りの刀剣男士を含め、私はその変化が嬉しくて笑った。
すると、不動も吹き出す様に笑ってくれた。